Q&A 病理解剖ってどんなことはじめに このQ&Aをお読みになる方が最愛のご家族やご親戚の命がなくなろうとしている、又はなくされたばかりの方でしたら、そのご心痛はいかばかりかと存じます。またそのようなご心痛の時ではありますが担当医が患者さんの解剖をお願い申し上げる場合がございます。このQ&Aを通じて皆様に病理解剖へのご理解を深めていただき、不安や疑問を少しでも解消できることができましたら幸いです。 すべて開く すべて閉じる病理解剖って何ですか? 病理解剖とは、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことです。どうして病理解剖が必要ですか? 医学の急速な進歩によって、様々な病気に対して様々な治療法が出てきており、薬の副作用も様々になっています。患者さんに起こる出来事は複雑に絡み合い、予測や対応が難しいものがたくさんあります。患者さんの体に実際にどのようなことが起こっていたのか、治療の効果はどれほどだったのか、患者さんから教えていただく「答え合わせ」とともに次の患者さんに対する「予習」をさせていただいています。どういうときに病理解剖をしますか? 病気で亡くなられたすべての患者さんが病理解剖の対象となり得ますが、具体的には以下の場合が考えられます。病気の経過や死因について、臨床的には説明がつかない、あるいは病理解剖以外の方法では確実な説明がつかない場合病理解剖によって、予測されなかった合併症が明らかになると考えられる場合病理解剖の結果によって、ご遺族やそのほかの人の不安や疑念が解消できると考えられる場合検査や手術中、あるいはその直後に予期されない死亡をされた場合治療中の方で、病院内において突然死あるいは予期されない死亡をされ、診療行為と関係がないと考えられると同時に司法解剖の対象とならない場合治験や臨床研究に参加している方が亡くなられた場合病理解剖はどのように行われますか? 病理解剖はご遺族の承諾をいただいた後に、主治医立ち合いの下、病理診断を専門とし、解剖を行う資格を持つ医師(病理医、死体解剖資格)と医学的に専門の知識を持った助手(臨床検査技師)により、礼を失することなく、法律を遵守して行われます。病理解剖は病院内の専用施設内で、通常3時間ほどかけて行われます。原則的にご遺族の立ち合いはご遠慮いただいております。 臓器や生前の経過によっては皮膚なども一部採取して、ホルマリンという液体につけて固定後、詳細な検討をしていきます。主治医を含めた多職種で検討をした後、最終的に主治医を通してご遺族に結果をお伝えします。結果をお返しするまでに、症例にもよりますが、通常3~4ヵ月いただいています。病理解剖が終わった後ご遺体はどのようになっていますか? 病理解剖の際には胸部から腹部にかけて皮膚に切開を入れます。着衣の状態では傷が見えないようにY字型の切開を入れ、病理解剖終了後に丁寧に縫合します。脳の解剖も許可された場合は頭部の切開をしますが、正面からは見えない位置で行います。病理解剖終了後、ご遺体をきれいにし、直ちにご遺族のもとにお返しします。病理解剖で取り出された臓器はどうなりますか? 取り出された臓器は肉眼観察の後に、一部が組織標本(パラフィンブロック及びスライドガラス標本)が作成され、顕微鏡下での観察や検討が行われます。必要に応じて電子顕微鏡検査や遺伝子検査が行われることもあります。臓器は一定期間保管された後に茶毘に付されます。組織標本は原則半永久的に保管されます。なおこれらはお申し出いただければご遺族に返却することができます。病理解剖の費用は遺族が支払う必要はありますか? 病理解剖に必要な費用は原則として病院が負担します。患者さんやご遺族が支払う必要はございません。